第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「それに雪さんの凄いところは、身体能力とは別にあると思ってますから」
「別、に?」
「任務先での立ち振る舞いや、その場その場での機転と言うか…咄嗟に出る言葉ってありますよね。あれ、雪さんのものだと自然と身に届くんですよね。なんでか、わからないけど」
「そ、そう?そんな大それたこと言った憶えはないけど…」
「…だから、なんじゃないかな。きっと」
「?」
手元を見つめて僅かに口元を綻ばせる。
そんな表情を見せるアレンは今、何を思い起こしているのか。
雪にはわかり兼ねたが、決して悪いことではないのだろう。
「そっか…ありがとう。嬉しいよ。そう言ってもらえたら、女である私にも意味はあるかも」
「そういえば雪さんって、性別あんまり気にしないタイプなんですね?今回のことでわかったんですけど」
「ああ、うん…そうかもね。ユウだって気にしないみたいだし、私も昔は男だったらよかったのになって、よく思ってたから」
「そうなんですか?」
「うん。男の方が色々と便利じゃない?生きていく上で」
「そうかなぁ…うーん…でも僕は、雪さんは女性でよかったって思いますけど」
「あはは。身長越されなくて済むから?」
「ち、違いますよ!」
「本当かなぁ」
「だって可愛い方がいいですから!」
「へ?」
「格好良い雪さんより、可愛い雪さんの方が僕は好───…っ」
「………」
「………」
「………アレン」
「……はい」
「それ、椛の前では言わない方がいいよ…」
「………ハイ」
握り拳を作って力説するアレンの声が萎む。
ぷしゅうと顔を赤くする彼につられて、雪もまた染まる頬を押さえて苦笑した。