第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「ぅぅ…少しくらい弁護してくれたっていんじゃね…」
「なら言うけど、南がラビのこと異性として意識してるから、機嫌悪くしたんでしょ?だったらやることは一つ。さっさと追い掛けて、ぼかぁ君が好きだラブユーって伝えくること」
「なんでそんな頭緩い告白なんさ…」
「ラビの頭は大概お花畑で南が踊ってんでしょ」
「オレっていつからそんな馬鹿キャラ定着したんさ…?」
「馬鹿と言うより南馬鹿だね」
「うえ。ユウと同じこと言ってんなよ。一緒にいると似るってのは本当さな」
「ユウが?へー…ユウもラビと南のこと知ってたんだ…」
「興味ないだけで、そういう観察力はあるだろユウも」
「確かに言えてる…って追い掛けなくていいの?早くしないと年下の紳士に持ってかれるよ」
「げっ南!」
雪が指差す先。
談話室の出入口では、偶々居合わせたのだろう、アレンと雑談する南の姿があった。
アレンに対して何か思い当たる節があるのか、ソファを跳ねるように飛び上がるとラビは一目散に駆けていく。
やれやれと再び肩を竦めてソファに腰を沈めながら、雪の目が重なったのはアレンの銀灰色の瞳。
当たり障り無く片手を上げれば、ぱちりと目を瞬いて小走りに駆け寄ってくる。
ラビ達と入れ替わりに現れたアレンの顔は、驚きながらも笑顔だった。
「雪さん、元に戻ったんですね!」
「うん。今朝起きたらね、この姿になってた」
「そうなんだ。うん、でもやっぱりその姿の方がしっくりきます。良かった、元に戻って」
「そう?それでも男に比べれば、女の体はちょっと不便なところがあるよ。任務も前の方が楽だったかなぁ、なんて」
「雪さんは女性だけど男性に引けを取らず、ファインダーの仕事をしてますよ。僕、雪さんと任務組むと安心しますから」
「本当に?」
「はい」
にっこりと笑うアレンの顔に偽りはない。
一礼してソファに座るアレンを促しながら、雪は照れ臭く返した。