第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「お前だから"こう"なるんだよ。お前以外じゃ処理できねぇんだから、いい加認めろ」
「認めるって、何、を…」
「AV観ても不感症だった癖に、たかだか興奮剤と玩具だけでそうすぐに牝イキできるはずねぇだろ。お前も俺と同じだ」
やけに上から目線なのはいつものこと。
そんな言い方しかできない神田の性格は理解していた。
だからこそ彼が云う言葉に嘘偽りがないことも。
「俺だからイイんだろ。俺に触られるから感じるんだろ」
「っ…」
「認めろ。男だろうが女だろうが、お前は俺に抱かれる性なんだってこと。俺以外の奴に"こう"されても喘げんのかよ」
「…それは…」
「女でも抱けりゃ満足するのか」
「ち、違…」
「じゃあなんだ」
「っ…ュゥ、だから…」
「俺だから?」
震える唇。
興奮剤は身体的に昂らせる効果しかない。
そこに拍車をかけるのは、雪自身の意思だ。
「気持ち、いい」
声にして認めると、体だけでなく心まで落とされた気配がした。
「なら独り占めすんなよ。その気持ちよさ、俺にも教えろ」
ぶっきらぼうな物言いだが、声は酷く優しい。
囁く唇が耳に触れるだけで、ぞくりと肌は熱を求めて粟立つ。
(ああ、だめだ。もう)
今日一日で身に沁みた感覚が再度伝わる。
初めて射精を覚えた所為か、まだ物足りないと言わんばかりに勃ち上がる自身の気配を悟ると同時に、雪は己の敗北も悟った。
何度も捕食されてきた我が身が覚えている。
彼の腕の中で溺れることで生まれる快感を。
どんな媚薬よりも中毒のように、心に侵食したそれが熱を生んだ。
「…痛くは、しないで」
小さな声で応える。
ようやく期待通りの反応が貰えたのか、神田の表情がほんの少し、柔らかく染まる。
「ハナからそのつもりだ」
当然のように即答する彼に、今日初めて安心感を覚えた。