第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「んっま、待って…っほんと、に?」
「………」
「ユウっ」
なんとなく危機感を覚える。
普段より逞しくなった両手で押し返そうとするも、肌を這う唇が耳を掠めると、ぴくりと指先が震えた。
「やっぱり体は同じだな」
耳の縁を辿る舌先に、囁き込まれる低い声。
「男でも女でも、お前は雪だ。認めろ」
「っ…そんなの、わかってる、よ」
「そうか?」
「ッ」
長い指先がシャツの下に潜り込む。
直に肌に触れられると、ひんやりと冷たい神田の手は余計に神経を過敏にさせた。
「わかってるなら、自分の体のことも理解してるよな」
「? 何───ぁっ」
かり、と指先で胸の突起を引っ掛かれる。
思わず漏れた自身の声が、低い男のものなのに明らかな嬌声の類に入るもので、堪らず雪は片手で口を覆った。
「どこがどう感じるのか、俺より知ってるはずだろ?」
「っ…」
それは自分で見つけたものではない。
目の前の彼に見つけ出されたものだ。
そう言いたくとも、再び嬌声が零れ落ちてしまうのではないかと思うと主張らしい主張もできない。
声を抑えることを優先して無防備になった肌の上を、我が物顔で這う綺麗な指先。
膨らみも柔らかさもない胸を執拗に責められると、傍から見て違和感はあるはずなのに息が上がる。
「そんなの、触って…楽しい、の」
「ああ。お前の反応があればな」
僅かに離れた神田の顔が雪を見下ろして、微かに口角の端を上げた。
「不能じゃないのは確かだったか」
「え?…ッ!」
長い切れ目が下半身へと下る。
そこで初めて、雪は自身の股の間の違和感に気付いた。
普段は感じ得ない"熱"。
それは確かに形と成って反応を示していた。
見慣れてはいるが、その感覚は一切身に覚えがない。
(ぅ、うそ)
僅かにでも、着込んだ布生地を押し上げているのは自身の性器。
さっと雪の顔に朱色が差した。