第4章 〜一味との時間 2日目〜
エ「さてと……」
エースと別れたあと、私は洋服屋に行き、今は雑貨店に来ている。
エ「わー、おしゃれで可愛い物ばっかり!!」
こういった雑貨店や可愛い物が置いてある店は大好きだ。
見ているだけで心がワクワクして満たされる気がする。
ふと、無造作に並べられていた綺麗なネックレスの数々が目に止まった。
エ「可愛い……綺麗」
そっと手で持ち上げる。
装飾が細かく、とても丁寧に作られている。
エ「買おうかな……」
その一言を呟いたとき、頭の中に、昔の記憶の一部が甦った。
エ「あ、可愛い!!綺麗!!!お母様、私これ欲しい!!」
幼い私が、母と来た店で小さなネックレスを握りしめて笑顔を浮かべている。
母「まぁ、あなたにはそんな綺麗なネックレス似合わないし、ドブに捨てるみたいで勿体ないわ。戻してらっしゃい」
エ「はい……」
仕方なくとぼとぼ歩いて戻しに行く。
私は正直言って、母との買い物が好きではなかった。
何でも好きな物買っていいわよ、と言われるが、さっきみたいなネックレスや指輪、可愛いぬいぐるみなどは滅多に買って貰えなかった。
そのときの答えはいつも必ず、
あなたには似合わない、
勿体ない、
ぬいぐるみが可哀想、
このどれかだった。
これを言われてしまうと、駄々をこねても買っては貰えない。
だから私はいつも本を買ってもらっていた。
母も本なら、勉強する気があって偉いわねぇ、と誉めてくれた。
エ「……………」
そっと、持ち上げていたネックレスを戻す。