第4章 〜一味との時間 2日目〜
すると、一人の老人が私に話しかけてきた。
老「お嬢さん、ひょっとしたら彼はこの町に生息している毒虫に刺されたのかもしれん」
エ「ど、毒虫っ!!?」
老「そうじゃ、症状が非常に似ておる。
だとすると、彼はもう……」
エ「そんな……!!」
すると突然、目の前で突っ伏していたエースが、ガバリッとすごい勢いで起き上がった。
私も老人も、店の中の客全員も驚きで固まってしまっていた。
エ「エース……?大丈夫??」
エー「ん?あー悪ィ寝てた」
全「「「「寝とったんかい!!!!」」」」」
私も含め店内の全員から激しいツッコミをもらったエースはさして気にしていないご様子。
「あの状態で寝てるとか普通思わないだろ……」
「もう、心配して損したわ!!」
「食いながら寝るとかスゲーな」
呆気に取られているとエースから肩をトントンとされる。
エー「悪かったな、つい癖で……」
バツが悪そうに頭をガシガシと掻く。
その様子がなんだか可愛くて思わず噴き出してしまった。
エ「あー、美味しかったぁー大満足。すみません、お会計お願いします」
エー「あー、食った食った」
エースはというと、私がお会計している間に立ち上がり、何食わぬ顔で外へ出ていこうとしている。
するとレジの店員が悲鳴にも似た叫びを上げた。
店「ちょ、ちょっとお客さん!!!?忘れてますよ!!」
エー「ん?あー、そうか!!」
ドアの前でくるっと方向転換し此方を向くエース。