第4章 〜一味との時間 2日目〜
ふと右隣を見ると物凄い勢いで料理を口に掻き込む青年がいた。
エ(わー、豪快な食べっぷり……)
驚きながら見物していると、私の視線に気付いた彼がこっちを向いてバッチリ目が合ってしまった。
なおのこと驚き、弾かれたようにバッと視線を外す。
エ「…………」
隣が気になる、けどまた目が合ったらどうしようか。
そんなことを頭の中でぐるぐると考えていると、注文した料理がカウンターから差し出される。
エ「あ、ありがとうございます」
店員のおじさんにお礼を言い、いただきます、と小さく呟いてから料理を口に運ぶ。
エ「おいしい………」
口に運ぶと無意識に頬が緩んで満面の笑顔になった。
そのとき、右隣から「フッ」と笑う声が聞こえ、反射的に隣を向いてしまった。
案の定、頬杖をつきながらニヤニヤとこっちを見ていた彼と再びバッチリ目が合う。
さっきバッチリ目が合ってしまったのと笑われたのとで、少し警戒しながら慎重に声を掛けてみた。
エ「あの……私何か変でしたか………?」
聞き方こそ逃げ腰だが、今度は視線を外さず、相手の目をしっかりと見据えて言う。
?「いや別に?おいしそうに食べるなーと思って」
特に悪びれもせず、相手も私の目を見据えて返してくる。
?「あー、でも1つだけあるとすれば、口の端にご飯粒付けてることくらいかな」
エ「えっ!!?」
急いで口の周りをペタペタと触って確認する。