第4章 〜一味との時間 2日目〜
店「やっと笑ってくれたね」
エ「えっ?」
店「お嬢ちゃんずっと、悲しそうな顔してたから」
自分でも気がつかない内に顔に出ていたなんて。
フォークを手にし、一口ぱくっと食べてみる。
甘い生クリームがふわふわのスポンジと相性抜群で、すごく美味しい。
ケーキを食べたのはごく数回だが、このケーキは今までで一番美味しくて、一番幸せになれる味だった。
エ「今まで食べたケーキの中で一番美味しいです!!」
嬉しそうにケーキをパクパクと食べる私を見ると、店主はまたグラスを磨き始めたのだった。
エ「ごちそうさまでした、とっても美味しかったです」
店「それはよかった、また来ておくれ」
店主は店の前まで出てきて手を振ってくれた。
一人で旅をしていて、こんなにも心が暖かかったのは初めてだった。
ホテルに着いてまずすることと言えば……。
ボフッ!!
そう、ベッドにダイブである。
エ「わぁ〜ふかふかだぁ〜〜」
ベッドの上でゴロンゴロンとする。
そう言えば、今日はまだ新聞を読んでいなかったことに気が付き、ベッドに寝転がったまま新聞を鷲掴みにする。
エ「えーっと、今日の見出しは何だ?」
とか言いながら新聞の一面を見る。