第4章 〜一味との時間 2日目〜
海「おい、そこのお前」
エ「………」
返事はせず、フードも被ったまま首だけ海兵の方を向く。
エ「何でしょうか?」
その質問に答えたのは中将だった。
中「幾つか聞きたいことがある。
まず、最近この辺りの海域でミズミズの実の能力者、アルデーラ・エミリを目撃したとの情報が入っている。何か彼女について知っていることはあるか?」
エ「………特にない」
もうそこまで情報が出回っているのかと驚いた。
このままでは少々まずいかもしれない、うまく切り抜けられるといいが……。
中「そうか。
では次の質問だ。お前、歳は幾つだ」
やはり……探りを入れてくるか。
エ「………12」
中「12の娘がこんな海域に一人で何をしている」
エ「旅」
坦々と素っ気なく、こちらの心情を探られないように慎重に答えていく。
中「珍しいこともあるもんだな」
そう言って可笑しそうに笑う。
その含んだような笑いに、私は苛立ちを覚えた。
エ「他に用がないのなら私は行くけど。早くしないと島に着けなくな――」
中「最後の質問だ。よーく聞け」
私の言葉を遮ってくる辺り、向こうにもあまり時間がないことが伺える。
それに、先程から海兵達の様子がおかしい。
エ「何?」
中「何故先程から深くフードを被ったまま、私達に顔を見せようとしない」