第2章 〜出会い〜
ル「ふぅ〜〜疲れたぁ」
息が整うと彼はニッコリ笑って私を見た。
エ「あ、あの…これ…」
私はおずおずと麦わら帽子を差し出す。
普段あまり人と話さない上、憧れの人をいきなり目の前にしてうまく口が回らない。
ル「おぉ!俺の帽子!!これ、すごく大事な物なんだ。誰だか知らねェけどありがとな!!」
エ「!!い、いえ!偶々拾っただけなので!!それより、ごめんなさい。いきなり引っ張って走り出してしまって…」
ル「いーって、お陰で海軍に捕まらずに済んだし」
エ「事情があって私も海軍に捕まるわけにはいかないので。あと、その…お腹の怪我、見せてもらってもいーですか?」
ル「!!お前よくわかったなぁ、俺一言も言ってなかったのに」
エ「走ってる最中、苦しそうでしたので……」
ル「へぇ〜すげーな、そんだけでわかんのか!!」
彼はそう言いながらシャツを捲り怪我を見せてくれた。
右の脇腹の辺りに着弾していたようで出血が酷い。常人なら立つことさえ厳しい筈だ。ましてや走るなんて痛いなんてもんじゃない。
エ「こ、こんなに酷かったなんて……ごめんなさい辛かったですよね、ホントにごめんなさ…」
ル「別にオメーのせいじゃねェし、気にすんなって」
ゴムの体を貫通すると言うことはきっと鉛弾。この出血量だと彼の命に関わる。
その事をルフィに伝えようと顔を上げたら、彼の全身から力が抜けて崩れ落ちるように倒れてきた。
慌てて彼の体を支える。
ル「あ、れ?体に…力が、入んねェ……」
エ「大丈夫ですか!?出血が酷くて…座れますか?」
彼を静かに座らせ背負っていたバッグから包帯とタオルを取り出す。
エ(まず、出血をどうにかしないと…)
普段はあまり使うことのない自身の能力を、意識を集中させて慎重に操る。
血液をうまくコントロールし、出血を止める。