第2章 〜出会い〜
彼は強いから海兵なんかあっという間に蹴散らしてしまうだろう。
そう思いながら少し離れた建物の陰から見ていたのだが、海兵は減るどころか心なしか増えているような気がする。
大丈夫だろうか?少し不安になったとき、海兵達の中から爆発と共に何かが降ってきた。
エ(何だろう……帽子?)
辺りを注意深く見渡してから近づいてみる。
エ「!!これは、ルフィの…!!!」
私が拾い上げたそれは、紛れもなくルフィの麦わら帽子だった。
帽子が降ってきた方向を見ると、未だ発砲音が鳴り止まず乱闘が繰り広げられていた。
ル「ゴムゴムのォ〜、ジェットピストルーーーっ!!」
エ「ルフィの、声……!!初めて聞いた!!」
遠くからでも良く聞こえたその声は間違いなくルフィ本人のものだった。
幾人もの海兵がルフィの攻撃で吹き飛ばされ、守りが手薄になる。
手薄になった場所から、一人の人が飛び出して来る。
エ「あ……!!!」
飛び出して来たのはルフィ本人だった。
見間違う筈がない。目の下のキズ、赤いヒラヒラとしたシャツ、草履、そして胸元にもある大きな傷痕。
何度も新聞に穴が空くほど見た、毎日手配書で見ていた憧れの人が、今私の目の前にいる。
ル「あ!!俺の帽子!!!」
エ「っ!!!」
彼が私の手の中にある帽子を見つけこちらに走って来る。
私にとっては跳び跳ねて喜びたいことだ。
ただし、彼が沢山の海兵を引き連れていなければの話だが。
考えるより先に体が動いていた。
私は、ルフィが目の前に来るなり彼の手を掴み走り出した。
ル「!?え、お、おい!!」
エ「ごめんなさい、後でちゃんと説明しますので、今は私についてきてください!」
それだけ言うと彼は大人しく私に付いてきてくれた。
家と家の狭い間を上手くすり抜け、路地に逃げ込む。
どうやら上手く撒けたようだ。