第4章 〜一味との時間 2日目〜
シ「いやぁ、海の上で倒れてたから驚いたよ」
エ「助けてくれて、ありがとうございます……」
シ「気にすんなっ。俺はシャンクス、よろしくな!!」
言って私の頭をポンッと撫でる。
この海賊船の人は撫でるのが好きなのだろうか?
正直、頭を撫でられるという行為自体少し抵抗がある。
それでも、今この手を振り払うことが出来ないのは、
自分の中に心地良いというものがあるからだった。
エ「私はエミリって言います、よろしく…お願いします」
シ「エミリちゃんか。可愛いな!でも、どうしてあんなところに傷だらけでいたんだ?」
エ「それは……」
聞かれた瞬間、自分でも体が強張るのがわかった。
恐い、私の能力がわかったら彼の、シャンクスの優しいところが剥がれて普通の海賊みたいになるんじゃないか、
欲に刈られてしまうんじゃないか……
エ「私は……ミズミズの実を食べた、液体人間」
気がついたときには勝手に口が開いていた。
人を素直に信じることが出来ない罪悪感と、海賊だからと距離を置こうとする後ろめたさのせいだろうか。
恐くて声が震えた。
恐ろしくて彼の顔を見れなかった。
ミズミズの実はロギア、最強種。
手に入れたい海賊はごまんといる。
シ「そうか、能力者だったのか。どうりで海が凍ってたわけだ。怪我はどうしてだ?」
エ「海軍に、やられて……」