第4章 〜一味との時間 2日目〜
体から力が抜け、立っていることもままならなくなる。
手すりから身を乗り出すように海を眺めていたため、力が抜けたことにより頭から真っ逆さまに海へと落下していく。
ドサッ
鈍い音がして傷口に痛みが走る。
私が落ちたのは海の中ではなく、海の上に張られた氷の上だった。
どうやら先程の能力爆発とやらのおかげで、軍艦だけでなく海の表面まで凍らせてしまったらしい。
しかし、凍っていると言っても極僅か。
軍艦の回りに僅かに張られた氷以外、すべて海水である。
海水が掛からないようにしながら恐る恐る足を一歩前に踏み出す。
一歩踏み出すと、瞬時に海水が凍って足場ができる。
エ(これなら、渡れる……)
氷の道を海に作りながら、宛もなく、ただただ区切れのない地平線を目指して歩き続けた。
氷の道には流れ出た血がポタポタと落ちてはすぐに凍る。
どのくらい歩いた頃だろうか?
地平線の真ん中に、点のようなものが見えたのは。
私の中には2つの選択肢があった。
1つ目はもちろん島であることだ。
たぶんこの可能性が一番高いだろう。
2つ目は……海賊船であることだ。
後者のほうは可能性は低いだろうが、完全に否定はできない。
だがもし海賊船だとしたら、次こそ私は殺されてしまうだろう。
徐々に徐々に、点だったものが大きくなる。
この段階ではまだ島か船かは特定できない。