第4章 〜一味との時間 2日目〜
エ「お母様ぁー!!町に変な人達が来たよ?」
ドアの前に立ちキッチンにいる母親に声を掛ける。
母「また変なことばかり言って、変な人達って誰?」
幼い頃の私は父親にも母親にもあまり好かれてはいなかった。
両親は機嫌が良いときは私にたくさんかまってくれたが、それ以外のときは私に目を向けることはほとんどなかった。
私はそれがとても不愉快で堪らなくて、良い子になった。
両親の望んだ娘に。
エ「町の人達が海賊って言ってたよ?」
母「か、海賊ですって……?嘘じゃないでしょうね?」
エ「嘘じゃないよ、確かに海賊−−」
父「おーい!!今すぐ逃げろーー!!!海賊のやつらがすぐそこまで来てる!!!」
それからはただただ走った。
家の裏にある森を抜ければ港に着く筈だった。
だが海賊達は予想以上に追い付くのが速く、家族の中で一番足が遅かった私が捕まった。
両親も行く手を海賊達に囲まれて動けない状態になっていた。
海「ほう?」
海賊の船長が私のことを舐め回すようにじっくりと眺める。
海「気に入った」
父「む、娘を気に入ったならやる、だから私達のことは助けてくれ……」
海「お、話がわかる奴じゃねぇか。だが、ただ貰うだけじゃつまらねぇ、こいつを俺に売ってくれ。そうすりゃあんたら二人は見逃してやるよ」
母「本当ですか!?」
海「あぁ、本当だ。この娘を5000万で俺に売ってくれ」
父「も、もちろんです…!!」
両親は、私のことを金で売った。
自分の命欲しさに……。