第1章 日常
「e-gameぅ?」
昼休みの終盤。昼食を取り終え一息ついていた頃。散りかけている桜を眺めていた翔は友人2人から聞こえてきた会話に窓から視線を外した。疑問を口にするとすかさず朔馬、龍の順番に口を開く。
「え、お前あの噂知らねぇの?」
「おい、まじかよ...流石翔だな」
「......どう言う意味だ」
眉間に皺を寄せて凄んだ翔に、龍は「いや、別に」と手をひらひらさせた。
「...で?噂って?」
翔が改めて2人に向き直ると、「本当に知らなかったんだな」と龍がポツリと言った。
「よくぞ聞いてくれた!」
朔馬がダァンと音を立てて椅子の上に立つ。なんだか見下ろされているような気がしてイラついた翔は椅子を蹴っておいた。
「いてっ...ってもまぁ、簡単な話なんだけどな」
そして朔馬はポツポツと話し始めた。