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第1章 日常


ゴッ!
「あだっ!」
「いっ...!」
この2人の頭に鉄拳が炸裂するのもまた、恒例である。
「痛ってぇぇぇえええ!何すんだよ龍!?」
「嗚呼、また身長が縮んでしまう...!」
殴られたことに憤怒する朔馬と、絶望に満ちた表情を浮かべる翔...バラバラの反応だ。そんな二人を冷たく見下ろしながら、再度朔馬に鉄拳をお見舞いする大男...基い竜胆龍は、一応翔の友人である。そして、龍に2度も鉄拳を落とされた朔馬もまた、龍と翔の友人であった。この三人は生まれた頃から親伝いに知り合いであり、奇跡的にそれぞれの家が隣同士という、所謂幼馴染みだ。
高校二年になった今でもその関係は続いており、からかう朔馬、怒る翔、鉄槌を下す龍、と、このポジションは昔から変わらない。
「おい朔馬、いい加減翔をからかうな。...大体、俺からしたらお前もチビだろうが」
「んなっ...俺はチビじゃねぇ!お前がデカすぎんだよ!」
「まぁ落ち着け、どうどう」
「俺は馬じゃねぇ!朔馬だ!」
「やっぱり馬じゃん」
チビ呼ばわりされて鼻息を荒くする朔馬に龍がからかうようにあしらう。
「縮む...チヂム...chizimu...」
一方、まるで呪文を唱えるかのように同じ言葉を繰り返す翔は顔から何まで真っ青になっている。
翔曰く、「龍の拳骨は落とされると身長が1ミリ縮む」らしい。
実際にはありえない話なのだが、本当に身長が縮んだことがあったとかないとか。
そんなこんなではあるが、今日も今日とて平和な三人である。
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