第6章 松野家にご招待!
それから私たちはクッキーを食べながら、お互いの話をたくさんした。そう、初めて出会った時のように。ううん、あの時よりももっとたくさんのことを。
6つ子のみんなの生い立ちとか、好きなものとか嫌いなものとか。趣味や特技、誕生日まで。
あまりにもみんなが楽しそうに面白おかしく話してくれるものだから、私も笑いが絶えなかった。
けれど私は…
「ねぇ、絵菜ってなんでそんなに就職したいのー?」
十四松くんの何気ない質問に、私はピシッと音を立てて固まってしまう。
当たり障りのない内容ならいくらでも話せるのだが、仕事に関してのことは事情が事情だし、自宅のことはあんな見てくれだから恥ずかしくてとても言えない…。
みんなを信用してないわけじゃないけど、手放しでこんなにも私を歓迎してくれる優しい人たちに、自分の抱えてる暗い部分を明かす必要もないように感じた。