第6章 松野家にご招待!
「っていうか父さんひどいよなぁ、愚息って何だよ愚息って。彼女の前なんだからもうちょい他に言い方あるだろー」
おそ松くんが口を尖らせる。
「ぐそくっておいしいのー?」
「食べ物じゃないよ、十四松兄さん。いい?愚息っていうのはー」
トド松くんが十四松くんに説明し始める。普通逆では…。
「…ねぇ、いつまでこんなとこにいんの。早く中入ろうよ」
「そうだね。絵菜ちゃん、どうぞ上がって」
一松くんとチョロ松くんに言われ、そういえばまだここが玄関だったことを思い出す。
私は「うん」と返事をして靴を脱ぎ、みんなの靴の横に揃えて並べる。…わぉ、見事にみんな同じ靴。6足もあると圧巻だよね。あ、黒電話だ、懐かしい〜。こっちのは…
「どうしたんだ?」
珍しいものばかりで興味津々で周りを観察していると、カラ松くんが不思議そうに声をかけてきた。
…しまった、いきなりじろじろと人の家のものを見るのは失礼だったかも…!
「あ、ご、ごめん、珍しくってつい…」
「珍しい?そんなのあったか?」
「うん、ほら、例えばこの黒電話とか」
靴箱の上に置いてある黒電話を指差すと、カラ松くんは納得したように頷く。
「ああ、うちにあるものは大体古いぞ。父さんと母さんが新しいものを買い換えたがらないんだ」
「へぇ、そうなんだ」
「二人ともー、何やってんのー?」
トド松くんの呼ぶ声が聞こえる。
「ああ、すまない。こっちが居間だ、遠慮せず入ってくれ」
「うん!」