第6章 松野家にご招待!
叫ばれて思いっきり後退りされ、一気に距離が開く。先程よりもさらに顔を赤く染め、ぱくぱくと声にならない声を発している。
「…チョ、チョロ松くん…?」
そのまま固まってしまったチョロ松くん。しかしやがて意識を取り戻してはっとなる。
「!ご、ごめん!……ああ、やっぱりだめだ…僕が女の子と二人きりなんて…ど、どうすれば…!」
今度は頭を抱えてブツブツと一人言を言い出す始末。…どうしよう、チョロ松くんが大変だ。
するとここで、手に持っていたスマホが鳴る。MINE?
字面を確認すると、またもやトド松くんから。
『絵菜ちゃん、ごめんね。本当は僕が迎えに行くつもりだったんだけど、兄さんたちがそれじゃ不公平だって聞かなくて、急遽ジャンケンで決めることになったんだ。で、もう会ってるか分からないけど、ジャンケンに勝ったチョロ松兄さんが行くことになったから、二人で家に来てね』
…なるほど、そういうことか。
『あと、チョロ松兄さん女の子と二人になるの慣れてないからいろいろめんどくさいだろうけど、歩くナビだと思って大目に見てやってよ。君が来るの楽しみにしてるね♪』
…お、おう…そういうことか…。
ちらりとチョロ松くんに視線を移す。まだ何か呟いてる…そんなに緊張しなくてもいいのに。
「チョロ松くん」
私は改めてチョロ松くんに近寄る。もちろん、近付きすぎない程度に。
チョロ松くんは恐る恐る顔を上げて、ようやく私を見てくれた。
「行こう?道案内、よろしくお願いします」
にこっと笑いかけると、チョロ松くんは一瞬大きく目を見開いて驚いたけれど、
「…うん。行こう、絵菜ちゃん」
そう言って、柔らかな笑みを浮かべてくれた。