第6章 松野家にご招待!
『絵菜ちゃん、昨日ぶりだね!突然なんだけど、今日ってこの後何か予定ってあるかな?』
そっか、昨日みんなには今後の予定とか全然話してなかったっけ。就活応援するって言ってくれたし、面接のこと伝えておけばよかった。
この後っていうと、午後だよね。やることがないと部屋でごろ寝するパターンだから、暇と言えば暇か。
『ううん、何もないよ。それがどうかした?』
メッセージを打つと、1分も経たないうちに返信が来た。
『よかった!じゃあさ、うちに来ない?兄さんたちもだけど、父さんと母さんが会いたがってるんだ!』
な、なんですと?!ご両親が?!
すごい急展開な気が…びっくりしすぎてスマホ落としそうになったよ。
ど、どうしよう…いや、確かに友達にはなったけど、昨日の今日でもうお家にお邪魔なんてしてもいいのだろうか…
私が返答に迷っていると、間もなくして、
『ねぇ、絵菜ちゃん…ダメ、かな…?』
瞳をうるうるさせた可愛らしいリスのスタンプと共に、そんなメッセージが送られてきた。
…この子、あざとい。あざとすぎる…!
『ぜひ、お邪魔させていただきます…』
可愛い、のダブルコンボを喰らい、私はあっさり陥落。こういう攻撃には弱いのです。
『やった!ありがと、嬉しいな♪今どこ?家かな?』
『ううん、ちょっと出掛けてて。12時前には家に帰るんだけど』
『そっか、じゃあ家まで迎えに…って思ったけど、僕君んち知らないや。赤塚公園って知ってる?』
赤塚公園…確か、おでん屋台があった通りに面してたかも。
『うん、知ってる』
『じゃあそこで12時半に待ち合わせにしない?僕が迎えに行くよ』
『分かった。ありがとうトド松くん』
『えへへ、どういたしまして。また後でね!』
やり取りが終わり、時間を見るとちょうど10分ジャスト。
…みんなの家かぁ。どんなところだろう。
引っ越してきてから初めてできた友人のお宅訪問に想いを馳せつつ、私は洗濯物を取りに店内に戻った。