第25章 幸せに咲く花【トド松END】
きゅっと、彼の服の裾を掴む。何か言って、と訴えるように。
その願いが届いたのか、ようやくトド松くんの口が動いた。
「……うん、謝って、絵菜ちゃん」
「え…?」
「君のせいだよ。君のせいで僕、おかしくなっちゃったんだ」
声が震えている。怒りではない。これは…
「トド松くん…泣いてるの…?」
「っ…」
彼の頬を、透明な雫が伝う。
…そう、トド松くんは泣いていた。
「どうして…?私があなたに何をしたの?お願い、教えて…!」
知らず知らずのうちに、彼を泣かせてしまうほど追い詰めていたというのだろうか。いくら記憶を手繰り寄せても、一向に思い出すことができない。
けれど、現に彼は涙を流している。明らかに原因は私だ。おかしくなったって、一体私は彼に何を…!
「…くすっ」
…え?
「あははは!ごめんごめん、冗談だよ。信じちゃった?」
「は…?」
ど、どういうこと?なんでトド松くん、笑ってるの?それに涙も消えちゃってる…