第25章 幸せに咲く花【トド松END】
裏口で待つこと十数分。私服に着替えたトド松くんが扉を開けて出てきた。
「ごめん、急いだつもりだったんだけど思ったより遅くなっちゃった。だいぶ待ったよね?」
「ううん、大丈夫だよ」
今度はいつものトド松くん。…ますますよく分からない。
「君は優しいなぁ。じゃあ行こうか。送ってくよ」
「仕事、終わったの?」
「うん、ちょうど時間だったんだ。今日は店も空いてたし、上がりやすくて助かったよ。だから気にしないで」
「う、うん…」
さっきの態度はなんだったんだろうと疑問に思うほど、いつもの優しいトド松くんだ。
避けられるよりは全然いいんだけど…納得がいかない。
並んで街を歩くこと数分。私はついに切り出した。
「…トド松くん。聞きたいことがあるの」
「うん?なんでも聞いてよ」
張り付けではない、本物の笑顔だ。大丈夫、今のトド松くんなら必ず答えてくれる。
「どうして最近…私に連絡をくれなかったの?」
「…!」
辛さを思い出して泣きそうになる。…だめ、今は堪えなきゃ。
「MINEも、電話も…おそ松くんたちはしょっちゅうくれるけど、トド松くんだけは途中からしてくれなくなったよね。…私、何か怒らせるようなことしちゃった?」
「……」
「そうだとしたら、謝りたいの。トド松くんに不快な思いをさせてしまっていたのなら、ちゃんと謝って仲直りしたい。このままなのは私…耐えられそうになくて…」
彼の返事を待つ。…でも、トド松くんは口を堅く閉ざしたまま。
表情は…暗くてあまりよく見えないけど、俯いているのは分かる。
どっちなの?トド松くん。
あなたは私を嫌いになってしまったの?もう関わりたくないの?
それならどうして、偽りだとしても笑顔を向けてくれたの?優しくしてくれるの?…今、隣にいてくれてるの?
私、バカだから…言葉にしてくれないと伝わらないよ、トド松くん…