第5章 早くも再会
全員の名前を確認すると、なぜか歓声を上げられ、拍手までされてしまった。
「え?え?ど、どうしたのみんな?」
なぜだか分からず困惑していると、おそ松くんが一歩前に出て笑顔を見せる。
「いやぁ、こないだ一回会ったきりだったのに、俺たち一人一人のことちゃんと覚えててくれてるとは思わなくてさ。なんかすっげー嬉しくて、思わず?」
「そうそう。大体初対面の人って最初は見分けつくんだけど、再会した頃にはもう誰が誰だか分からなくなっちゃってるからね」
チョロ松くんの言葉に、なるほどと納得する。そっか、みんな同じ顔だもんね。でも…
「私にとっては、見分けるのそんなに難しくないんだ。確かにみんなそっくりだけど、細かいところは違うし、やっぱり三者三様っていうか。個性があるし、口調も違うでしょ?」
だから初めて会った時も、わりとすぐ区別できるようになっていた。記憶力には自信があるから忘れなかっただけで。
けど、呆然としているみんなを見るに、私みたいなタイプの人ってあまりいなかったんだろうなぁ。
「えっと…みんなもお風呂に入りに来たんだよね?」
話の流れを変えるために尋ねると、十四松くんが風呂桶を頭の上に掲げて頷く。
「うん、そーだよー!」
続けてトド松くんが、
「ほら、僕ら6つ子でしょ?家のお風呂に順番に入ると長くなるから、昔からみんなで銭湯通いしてるんだ」
と説明してくれた。ふむふむ、確かに時短にもなるしこっちの方が安上がりかも。
「…とりあえず入らない?寒いし」
「あ、うん、そうだね!」
一足先に入り口に向かう一松くんに続いて、私たちは銭湯の中に入った。