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【おそ松さん】本気の恋と、6つ子と、私。

第25章 幸せに咲く花【トド松END】





次の日。降り続いていた雨も夕方になる頃にはようやく止み、仕事が終わって会社から出た私はほっとした。あのどしゃ降りの中をまた帰るのは一苦労なため素直に安心したのだ。


久しぶりに太陽を拝んだ気がするなぁ…まっすぐ帰るのもなんだかもったいないし、少し寄り道してみよう。


近くにあったスタバァに目が留まる。そういえば私、こういうところって入ったことないな。


喉も渇いたし…よし!


意を決して中に入ってみる。おおお…さすが噂によく聞くスタバァ、内装からすでにオサレな雰囲気…


平日の午後といえど、お客さんはそれなりだ。えーっと、まずは注文だよね。あ、カウンター誰も並んでない。今のうちに…


「いらっしゃいませー!ご注文は……え?」


「?…あぁっ!」


カウンターにいた店員さんが、私を見て硬直する。対して私も、予想外すぎる展開に奇声を発してしまった。


なぜなら…


「と、とと、トド松くん?!」


その店員さんは、私が会いたかった彼…トド松くんだったからだ。


「あ、あはは…ひ、久しぶりだね、絵菜ちゃん。……そっか、そういえばこの店彼女の会社の近くだっけ。うわぁ僕としたことがやっちゃったよ……」


心なしか引きつった笑顔を浮かべて挨拶をしてくれたかと思えば、ブツブツと何か独り言を呟いているトド松くん。


やっぱり、再会を喜んではくれていないのかな…


「うん、久しぶり…仕事決まったんだね、おめでとう」


「え!いや、これは単なるアルバイトだよ。言い方悪いけど、本職が見つかるまでの繋ぎっていうか…あ、今の他の人には内緒ね?」


彼は人差し指を口に当てて可愛らしくウインクする。あれ、いつものトド松くんに戻った?


「ふふ。うん、誰にも言わないよ。それにしても、久々にトド松くんに会えて嬉しいな」


「!」


いつもの彼だからと、安心して素直に自分の気持ちを伝えてみたんだけど…彼から笑顔が消えてしまった。


「…トド松くん?」


「あ…ご、ごめん、なんでもない。えっと、注文だよね。どれにする?」


すぐに笑顔は戻ったけれど、コミュニケーションが得意な彼にしては辿々しい接客に、私は胸の奥がチクリと痛むのを感じた。


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