第24章 宝物は君だけ【十四松END】
顔面蒼白で思考停止してしまった私を気遣い、十四松くんがベンチまで連れてきてくれた。
「大丈夫?絵菜。僕飲み物買ってくるから、ここに座って休んでて?」
「う、うん、ありがとう十四松くん…じゃあお言葉に甘えるね…」
ショップに向かう彼を見送り、私は大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
うぅ、情けない…思ったより高くて速かったんだよ…回ったんだよ…終始余裕で楽しんでた十四松くんが羨ましい…
せっかくの遊園地デートなのに…つ、次はもっと穏やかなアトラクションにしよう。いっそ観覧車でもいいかもしれない。
ふぅ…だいぶ楽になってきた。そうだ、お腹も減ったし、次のアトラクションに乗る前に昼食にしよう。
マップを広げてどのレストランがいいか探していると、ふいに目の前に影ができた。
十四松くんが戻ってきたのかな?と顔を上げる。しかしそこには、知らない男性が3人。うち1人が私の顔をまじまじと見てくる。な、なんなのこいつ…?
「ああっ、やっぱり!お前笹倉だろ?笹倉絵菜!」
「…は…?」
いきなりフルネームを呼ばれ、背筋が凍る。な、なんで知ってるの?!
「笹倉ー?誰?」
「ほら、大学にいたじゃん。あいつの女だよ」
「…あー、そういえば。ってかあいつの女っつっても記憶にねぇわ。多すぎて」
「確かに」
こ、この人たち…まさか同じ大学の…あいつの知り合い!?
最悪、なんでよりによってこんなとこに来てるのよ!あいつの件はもう完全に終わったと思ってたのに、まだ負の遺産が残ってたなんて…!
「ねぇ、1人なの?最近あいつと連絡取れないんだけど、なんか知らない?」
「…し、知らない。大体もう別れたし、関係ないもの」
「あはは、なに、キレてる?」
「まぁまぁ、そう煽んなって。てかお前、大学の頃とだいぶ変わったなー。可愛いじゃん、彼氏と来てんの?」
い、いつまで私に構ってくるの…お願いだから早くどこかに行ってよ…!
「あ、あなたたちには関係ないってば。私なんか放っておいて、さっさと遊びに行ったらどうなの?」
「お、ツンデレだツンデレ。ますますかーわいい」