第24章 宝物は君だけ【十四松END】
誘いは、唐突だった。
「え?デート?」
私は電話口の向こうの十四松くんに問いかける。
『うん!君の都合のいい日に合わせるから、僕とデートしよー!』
こ、これはまたいきなりだな…嬉しいけど、反応に困ってしまう。
十四松くんの傷の手当てをしてから3日経ったある日。仕事が休みだったため家でゴロゴロしていた私の元に、一本の電話がかかってきた。
発信者は松野家となっていたので、出るまで誰だか分からなかったのだけど、明るく元気いっぱいな声ですぐ十四松くんだと分かった。
そして、第一声がまさかの¨デートしてください!¨だったものだからたまげた。
『だめ?僕とデートするの嫌かなー?』
「う、ううん、お誘いは嬉しいんだけど…なんでまた急に?」
『この間のお礼だよー!僕ね、君のおかげで手、治ったんだ!』
「えっ!そうなんだ、よかった!」
『だから僕、君のために何かしてあげたくて、いろいろ考えたんだ。そしたら、前に君が僕たちにお礼をするためにデートしてくれたこと思い出して、僕もそうしようかなって!』
十四松くん…あの時のデートもちゃんと覚えてくれてたんだ。すごく嬉しい。
あれは、みんなの要望がデートだったからしただけなんだけど…せっかくのお誘いだし、断る理由はないよね。
「うん、私も十四松くんとデートしたいな。4日後、仕事が休みで予定も空いてるの。その日でもいい?」
『もちろん、大丈夫っすよー!じゃあ僕、お昼頃に君の家に迎えに行くね!』
「ありがとう。待ってるね、十四松くん」
電話を切り、スマホを胸に抱きしめる。
十四松くんとのデートは2回目だけど、あの時とは立場が逆だからか、楽しみで仕方がない。
あっ、でも、またアウトドアな感じだったりして…動きやすい格好の方がいいかな。
…ううん、身構えてるみたいで十四松くんにがっかりされちゃうかもしれない。私もどうせならおしゃれしていきたいし…
よし、まずは服選びから!…って、デートは4日後なんだった。待ちきれないなぁ。