第24章 宝物は君だけ【十四松END】
患部を水で洗い流してから消毒をし、絆創膏を貼っていく。
十四松くんが途中、消毒液がしみたのか涙目になっていたけれど、なんとか無事最後まで手当てをすることができた。
「はい、おしまい!痛かったでしょ?よく我慢できました」
「絵菜、ありが特大さよならホームラーン!!えへへ、もう大丈夫だよ!」
「でも、ちゃんと治るまで油断は禁物だよ?できればしばらく素振りは控えてほしいな。左手もそのうち血マメができちゃうかもしれないし…いくら好きなことでも、痛い思いしながらするのは気持ちがよくないでしょ?」
「…うん、そうだね。ごめんなさい…僕、治るまでバットは握らないことにする!」
「分かってくれてありがとう。…わ、もうこんな時間。十四松くん、一人で帰れる?さすがにもうスーパーに行かないと、お店閉まっちゃう」
「僕もう大人だよ!一人でも大丈夫!」
…そうでした。時々忘れそうになるけど、十四松くんも私と同い年なんだもんね。一人で帰れる?、なんて失礼だったな。
「絵菜、本当にありがとー!お邪魔しました!また遊ぼうね!」
「うん、またね十四松くん」
行儀よくお辞儀して挨拶をしてから、元気よく帰っていく十四松くんを見送り、私はほっと息をつく。
偶然とはいえ、再会できてよかった。
…十四松くんはいつも笑顔だから、ほんの些細な変化も見逃せない。
彼と一緒にいると癒されるし、明るい気持ちになれる。十四松くんは意識してないかもしれないけど、私は彼と会うたびにパワーをもらっていたんだ。
だから、せめて彼が元気でいられるように、無理をしすぎないように、支えてあげられる存在でありたい。
…こう願うのは、仲の良い友達だから?
それとも…もっと別の感情…?