第24章 宝物は君だけ【十四松END】
ドキッとする。きっと十四松くんの¨大好き¨は、友達としてって意味なんだろうけど…
…お、おかしいな。すごくドキドキしてる。面と向かって言われたから気恥ずかしいのかな…?
私の様子が変なことに気付いたのか、十四松くんがわたわたとし始めた。
「!あ…ち、違うんだ!今のはね、友達として絵菜が大好きっていう意味!」
「っ…!」
ほらやっぱり…そうに決まってるもん。十四松くんは純粋で素直な人だから、誰に対しても好意をまっすぐに伝えるんだ。
大好きって言われて早とちりしかけたのは私。…なのに、さっきまでドキドキしていたはずの心臓が、ちょっぴり痛いのはなぜなんだろう…
「そ、そうだよね。私も十四松くんのこと、大好きだよ」
「マジっすか!ありがとー絵菜!」
大好きと言われて嬉しいのか、彼は子犬のようにはしゃぎ回る。…相変わらず可愛いなぁ。
「ところで、十四松くん。今素振りしてたよね?」
彼が手にしているバットに目をやる。すると十四松くんは私から少し離れて、バットを2、3回振ってみせた。
「うん、そう!数えながらやってたんだ!毎日の日課ー!」
「へぇ、日課なんだ。…って、数えながらってことは、さっきの5000なんとかって…!」
「あのねー、僕一度に最高1万回したことあるよ!すごいでしょ!」
いち、まん…素振り1万回…
「…そ、そっか…えっと、中断させちゃってごめんね?」
「あはは!気にしなくていいよー!それより絵菜は、これからどっか行くの?」
「うん、スーパーに買い物にね」
「そうなんだ!…っ」