第5章 早くも再会
【6つ子side】
「みんな準備できた?行くよー」
チョロ松が、他の兄弟たちに声をかける。その手にはお風呂セット。
「あーあ、もうちょっとだったのにぃ」
「仕方ないだろう。続きは帰ってからな」
「…俺は負けてたからむしろ助かったけど」
「一松はほんとテーブルゲーム弱いよなぁ」
やがてチョロ松と同じくお風呂セットを持った他の兄弟たちが、ぞろぞろと玄関に集いだす。
「全員いるかー?」
おそ松がみんなを見回して確認する…が、一人足りない。
「あれ?十四松は?」
「…俺呼んでくる」
一松がのそっと動き、部屋に戻ろうとしたその時、
「どぉーーーうッ!!」
ドカーンッ!バキバキィッ!
階段の上から玄関まで黄色い何かが勢いよく落下してきた。…衝撃で床に穴が開いているけれど、日常茶飯事なのでみんなスルー。
「…十四松、何してたの」
「あはは、トランプ片付けてたんだーっ」
「ああ…そう(こいつそういうとこしっかりしてるよな)」
「よし、揃ったな。じゃあ行こー!」
おそ松の声を合図に、6つ子たちはいつも通っている銭湯に向け出発した。
銭湯への道中、ふいにトド松が口を開く。
「そういえば、前おでん屋台で知り合った女の子、元気にしてるかなぁ」
するとカラ松が、
「フッ…あの愛らしいカラ松girlのことか…」
とキザッたくポーズを決める。
「お前の女じゃねぇだろクソ松」
一松はそんなカラ松を睨みながら、安定の毒づき。
「あれから3日くらい経つけど、就活はうまくいってんのかな」
「また会いたいねー!」
「だよな、また会いたいよな」
おそ松と十四松が頷き合っていると、チョロ松がないないと首を横に振る。
「いやいや、どこの誰かも分からないのにそう簡単に会えるわけ……」
中途半端にチョロ松のセリフが止まる。
「どうしたー、チョロ松?」
「みんな…あの、向こうから歩いてくるのって」
「「「「「え?」」」」」
全員が前方に目を向ける。銭湯がすぐ間近に迫っているが、その入り口より手前に向かって歩いてくる、一人の女性がいた。