第23章 未来の選択【一松END】
事情を話すと、一松くんは私の頭に手を乗せ、優しく撫でてくれた。
「あ…」
「…そんなに落ち込む必要はないよ。前にも言ったけど、猫は自由気ままな生き物だから。まだ子供で心配なのは分かるけど、少なくとも、全部があんたのせいなわけじゃない。だからとりあえず落ち着いて」
「…一松、くん…」
「今日はもう遅いから、あんたは帰った方がいい。どっちにしろ見つけるのは至難の業だと思う。猫は夜目が利くけど、人間はそうもいかないから」
「で、でも早く見つけてあげないと、ルルが可哀想だよ…」
「…分かってる。ここは俺に任せて。あんたよりは猫に詳しいつもりだから、一通り探してみるよ。見つけたら連絡する」
「!」
「遠慮とか、謝罪の言葉とかいらないからね。確かにあんたに助けを求められた。…でも、¨助ける¨って決めたのは俺だから。あんたは、頷いてくれるだけでいい」
真剣な眼差しだった。
そう…彼の言う通りだ。頼ったのは私。一松くんは、任せろと言ってくれた。申し訳ないと思うのは、かえって失礼だ…
「…うん。私も、明日仕事が終わったら探すから…それまでルルのこと、よろしくお願いします…!」
「…ん。じゃあ俺、行くから。…あまり思い詰めるなよ」
くるりと背を向けて、彼は去っていく。
「一松くん…」
動揺、不安、そして信頼…
様々な感情を胸に抱きながら、その日私は眠れない夜を過ごした…。