第23章 未来の選択【一松END】
体力はそんなにないから、あまり遠くには行ってないはず!うぅ、夜だからなおさら探しにくいよ…!
「ルルー!ルルー!」
スーツ姿のままなため、時折足が縺れそうになるのも構わず、名前を呼びながら必死に走る。
あの子は私に懐いてるから、声を聞けばきっと寄ってきてくれる…そう信じたい。
でも、私一人の力で、果たして無事に見つけ出すことができるのだろうか。
昼間ならまだしも…こんな暗がりの中、あんなに小さな子猫一匹を…
不安に押し潰されそうになる。…その時、前方に見覚えのある背中が見えた。
「…!一松くん!」
これは私の問題だ…彼を巻き込むわけにはいかない…頭では分かってはいても、彼ならきっと力を貸してくれそうな気がして。
「!…絵菜?」
彼が振り向いたのと、私が彼に抱きついたのは、ほぼ同時だった。
「ぅわッ!?ちょ、また?!」
もはや恥も外聞もない。私はよろめいて何事かと声を上げる彼から体を離し、涙ながらに懇願した。
「ルルが…ルルがいなくなっちゃったの…だからお願い、力を貸して…!」
「…!」
一松くんの目の色が変わる。
「……それ、詳しく聞かせて」
「う、うん…」