第23章 未来の選択【一松END】
また一松くんが固まってしまった。ん?私変なこと言ったかな?
きょとんとしていると、彼はため息をついて私に向き直る。
「……まぁ、いいや。仕事帰り?」
「あ、うん、そうなの。残業で遅くなっちゃって、お弁当でも買って帰ろうかなって。一松くんは?」
彼は手に提げていた袋を開いて中を見せてくれる。たくさんのお酒とおつまみが入っていた。
「ひょっとして、おつかい?」
「…パシリみたいなものだよ。じゃんけんで負けた奴が買ってこいっておそ松兄さんが命令してきたんだよね。で、案の定」
「あはは、相変わらず仲いいんだね」
「どこが」
…ああ、こんな風に一松くんと話すのすごく久しぶりだな。最後に会ったの、だいぶ前だもんね。
「…何泣きそうな顔してんの」
一松くんが驚いたような声を上げる。
「えっ?そ、そうかな?」
「勘弁してよ…俺が悲しませてるみたいじゃん」
言い方はきついけど、心配してくれているのが伝わってくる。
「ごめんね。でも、悲しいとか辛いとか、そういうんじゃなくて…」
「……」
仕事疲れで、心がだいぶ不安定になってる。このままじゃ弱音を吐いてしまいそうだ。会って早々愚痴なんて、一松くんだって聞きたくないだろうし、我慢我慢。
「…弁当、買わなくていいの?」
「あ…う、うん。そうだった」
…ここでコンビニに入ったら、一松くん、帰っちゃうのかな…
じっと彼を見つめていると、
「……なに?」
無表情ではあるけど、若干イラッとした声。
「へ?!あ、ううん、なんでも!」
回れ右をして、足を前に…
前、に…
……うぐぐ。
「………」
う、後ろから闇のオーラが…!「なにやってんの早くしろよバカなの?」とでも言いたげな視線を背中にビシビシ感じる…!
「………はぁ」
「!」
「…待ってるから、早く買ってきて」
コンビニの側のベンチに腰を下ろす一松くん。今…待ってるって言ってくれた?
「あの、一ま
「早く。5分以内」
「りょ、了解しました!」
再び睨まれたので、私は急いでコンビニに入り、弁当コーナーに直行した…。