第23章 未来の選択【一松END】
【絵菜side】
遅くなっちゃったなぁ…。
私はすっかり暗くなった夜道を歩きながら帰路につく。
最近仕事が忙しくて残業ばかり。正直、体力的にも精神的にもかなり参っていた。
帰ってから夕飯作る気力ないなぁ…コンビニでも寄ってなんか買おう。
近くにあったコンビニに目が留まる。普段あまり利用しないけど、たまにはコンビニ弁当も悪くはないかも。
そう思い入り口に向かうと、ちょうど中から出てきた男性と目が合う。
「……あ」
「…あぁ!」
ボサボサの髪、だるそうな半目、紫のパーカーにジャージに便所サンダル…そして猫背。この出で立ちは、紛れもなく私のよく知る人物…
「一松くん!」
私は彼の名を呼ぶと、嬉しさのあまり人目も憚らず思い切り抱きついた。
「!な…っ
「久しぶりっ一松くん!すごい偶然!」
彼は固まってしまっていたけれど、私はお構い無しにぎゅーっと抱き締める。
「ちょ、ちょっと…離れなよ。視線が痛い…」
「あ、ご、ごめん!つい」
パッと手を離して周りを窺うと、チラチラとこちらを見る人が数人。…た、確かに大胆すぎたかも…
一松くんも顔を真っ赤にしている。
「…なんなのいきなり抱きつくとか…前もそうだったけど心臓に悪すぎ…」
私からふいっと顔を逸らして、ぶつぶつと何か呟く一松くん。…可愛いなぁ。
そんな彼の様子を微笑ましく思っていると、
「…今、なんか失礼なこと考えたでしょ」
依然顔は赤いままだけど、ギロッと睨まれた。
「え!?あ、あはは、バレちゃった?」
「前も似たようなことあったし。てかほんとスキンシップ激しすぎ。いくら久々だからって普通いきなり抱きつく?」
「ご、ごめんなさい…だって一松くんに会えて嬉しくって」
「……は?」