第22章 恋い焦がれたその先に【チョロ松END】
…だめだ。くらくらする。
スーパーへの道中、ふらつく足をなんとか奮い立たせるも、しょっちゅう意識が飛びそうになる。
あともう少し…着いたら必要なものだけ買って、すぐ帰ればきっと…
そう思うのに、体が言うことを訊かない。熱はまだ計ってないけど、相当高いのかも…
ここで無理をすれば、かえって悪化する可能性もある。でも、スーパーはもうすぐだし、簡単には諦めきれない。
その時、地面の石に足が引っ掛かる。
「きゃっ」
普段の私ならこんなのでいちいち躓いたりしない。でも今はタイミングが悪すぎた。
案の定バランスを崩し、よろめく。視界が大きくぐらついて、私は地面に…
「絵菜ちゃん!!」
誰かが私の名前を呼ぶ。倒れたと思ったのに、全身に来るであろう衝撃はいつまで経ってもやってこない。それどころか、支えられているような…
「大丈夫!?僕が分かる?」
「…チョロ松くん…?」
見上げると、スーツ姿のチョロ松くんが私を支えてくれていた。
すぐ側に、鞄が落ちている。きっと私が倒れそうになったのを見て慌てて駆け寄ってくれたのだろう。
「あ、ありがとう、チョロ松くん…もう立てるよ」
「けど、顔赤いよ。熱があるんじゃない?」
ぴとっと、額に彼の手が添えられる。ひんやりして、気持ちいい…
「わ、すごく熱いよ!こんな高熱で外出なんてしちゃだめだ!どこに行こうとしてたの?」
「その…家に何もなくて…スーパーに…」
「仕事、お休み?」
「うん…今朝、連絡が来て、今日1日安静にして、なんとか明日までには治すつもりで…」
「そっか…とりあえず家まで送るよ。寝てないと治るものも治らないからね」
「え…?」
チョロ松くんは鞄を拾うと、私の手を繋いで歩き出す。
「ちょ、ちょっと待ってチョロ松くん」
「ごめん、言いたいことはあるだろうけど聞いてあげられない。こんな状態の君を放っておけないよ」
「っ…」
それ以上何も言い返せずに、私はチョロ松くんと来た道を引き返した。