第22章 恋い焦がれたその先に【チョロ松END】
『あー、やっと出た。榊だけど、笹倉さん、どうしたの?今日出勤だろう?』
電話に出たのは、私の先輩の榊さんだった。
「す、すみません…!どんな罰でも受けますので、必ず出勤すると部長に伝えていただけますか?!」
『いや、罰って。具合悪いわけじゃなくて、ただの寝坊?』
「は、はい、体調は問題な…っ!」
くらりと、視界が揺れる。倒れそうになり、私は慌てて壁に手をついた。
『…笹倉さん?』
あれ、おかしいな…頭がくらくらする。体も熱い。鼻も詰まってるし、喉も痛くて…
まさか私…か、風邪引いちゃったの…?
『……分かった。今日は休め』
「…え…?さ、榊さん…?」
『そんな鼻声で何を言われても説得力ないよ。部長には俺から言っておくから、1日しっかり療養。できるな?』
「…はい…すみません…」
『ただし、あんまり休まれても部長の機嫌損ねて大変なことになるから、明日には復帰するつもりで頼むよ。…お大事に』
通話の切れたスマホを、ぼーっと見つめる。
やってしまった…仕事を休んでいいことなんて、何一つないのに。
自己管理がなってないって、榊さんも部長も呆れちゃうだろうな…
「にゃー…」
か細い声で鳴きながら、ルルが足元にすり寄ってくる。そういえば結局、ご飯あげられてなかった。
「ん、ごめんねルル。今ご飯、あげるから」
餌を用意しながら、考える。昨日はなんともなかったのに、湯冷めでもしちゃったのかな?マッサージチェアだいぶ長く使ってたし。
それとも、ここ最近の体のだるさは、風邪の前兆でもあったのかも…
いずれにせよ、明日には絶対復帰しなくちゃ。そのためにも今日はしっかり体を休めないと。
ああ、でも、うち何もないや。買い物、今日行く予定だったし…
食べ物はさすがに欲しい。寝てるだけじゃ回復はしないだろうし、料理くらいならなんとかできるはず。
あまり外に出たくはないけど、なるべくあったかい格好をしてスーパーに買い物に行こう。