第22章 恋い焦がれたその先に【チョロ松END】
「君も、もしかして使いにきた?」
「え?う、うん、実は…最近疲れが溜まってて、ちょうどいいかなって」
「占領しちゃってたね、ごめん。今どくよ。僕はもう十分だし」
「本当?じゃあ、使わせてもらうね。ありがとう」
わぁ、念願のマッサージチェア!というか恐らく人生初かも…!
「このボタンでパターンが選べて、こっちが強弱、こっちがスピードだよ」
「う、うん…えーっと」
チョロ松くんに丁寧に教わりながら、私は恐る恐るボタンを押す。すると、首元から背中、腰にかけて、ローラーがぐりぐりと動いた。
「わっ!ちょっと痛いけど、気持ちいい!」
「あはは、だよね。僕も最初は慣れなかったけど、だんだん癖になっちゃった」
後で番台のおばあちゃんに感謝しなくちゃ。というか一家に一台は欲しいかも。
「じゃあ僕、先に帰るね。あ、それ特に時間制限はないから、使いたい人が来るまで好きなだけ座ってていいよ。またね、絵菜ちゃん」
「えっ…!」
「?どうかした?」
私、今…チョロ松くんを呼び止めようとした。多分、無意識に。
「…あ、ううん、なんでもない。またね、チョロ松くん」
なんとか笑顔を作って、なんでもないフリをする。
チョロ松くんは不思議そうに首を傾げたけれど、同じく笑顔で手を振ってくれた。
…もう少し、一緒にいたかったな…