第21章 君の瞳に映るのは【カラ松END】
「…ブラザー。祝ってくれるのは純粋に嬉しいが、一つだけ不満がある」
「ん?なんだーカラ松」
「なぜ俺と絵菜が隣同士ではないんだ…!?それにおそ松、距離が近い!」
カラ松くんが立ち上がり、私の隣にいるおそ松くんを指差す。
そう。座り順は、左からおそ松くん、私、チョロ松くん、一松くん、十四松くん、トド松くん…そして一番右端がカラ松くんなのだ。
最初はもちろん隣同士に座ろうとしたのだけれど、おそ松くんがあらかじめ席順を決めるくじを作ってきていて、それに沿ったらこんなことになってしまった。
私は、確かに少し残念だけれど…みんなとは久々の再会だし、こういう時くらいいいかなと思っている。
でもカラ松くんは耐えられないらしい。
「えー?くじによる正当な結果だよーカラ松ー。ってかさー、どーせこれから嫌というほどイチャイチャできるんだから、今くらいいいよなー?そう思うだろ、絵菜?」
おそ松くんに肩を抱かれる。私は「う、うん」と返事をするのがやっとだった。
「〜〜〜っ!!」
「か、カラ松兄さん落ち着いて!ちょっとおそ松兄さん、何煽ってんの!もっとお互い仲良く、楽しくやろうよ!」
「んだよトッティ。お前だってどうせ心ん中じゃ、『クソリア充爆発しろ☆』とか思ってんだろー?」
「まぁね。それは否定しない」
「いやそこは曲がりなりにも否定しろよ!あとその澄んだ瞳をやめなさい!」
「ねー絵菜!おでんの具取ったげるー!」
「あ、ありがとう十四松くん」
「…酒、もうないんじゃない?注いであげるから、コップ貸して」
「一松くんも、ありがとう」
おそ松くんとカラ松くんとチョロ松くんとトド松くんが激しい口論を繰り広げる中、私は一松くんと十四松くんに労われながら、ちびちびとおでんを食べていた。
うーん、これって一応、お祝いパーティーなんだよね…?
まぁ、みんならしくっていっか。
…そんな風にお気楽気分だったからか、
カラ松くんが一瞬だけ苦しそうに顔を歪ませたのに、私は気付かなかった。