第21章 君の瞳に映るのは【カラ松END】
「…カラ松、くん…苦しいよ。もう逃げないから…」
「……同じなんだ」
「…え?」
「俺も同じなんだ。…君が弟たちと話すのを見て…嫉妬した」
ぎゅっと、抱きしめる腕にさらに力がこもる。
「今だけじゃない。前に一緒にデートをした時…君が、俺以外の兄弟の話をするのが、気に入らなかった。…俺だけを見てほしくて、君に触れてしまった」
「…あ」
そうだ、二人で丘を登った、あの時…
『俺のことだけ、考えていてほしいんだ』
あの台詞も、額へのキスも…みんなに嫉妬していたからなんだ…
「だから俺は、君を責める気などない。むしろ嬉しかった。…泣かせてしまったのに、嬉しいと感じるなんて、相当なクズだとは思わないか?」
自虐的に笑う彼。ああ…そんなところも、私と同じ。
すれ違ってなんていないのに、すれ違っていると錯覚していた。なんて愚かだったんだろう。彼は、あの時から…
「カラ松くん…私」
今なら、伝えられる。
けれど、
「絵菜。散々泣かせておいて、そんな権利があるとは思っていないが…俺から、言わせてほしい」
「!…うん」
すぐ目の前に、カラ松くんの顔がある。
迷いのない、綺麗な瞳に吸い込まれそうなほどまっすぐ見つめられ、心臓の鼓動がうるさく鳴り響く。
「…俺は、絵菜が好きだ」
彼の口から告げられる、今一番私が欲しかった言葉。
素顔のままの彼が、なんのてらいもなく私に伝えてくれた、愛の言葉。
私は涙が出そうになるのを堪え、微笑む。
「…私も、カラ松くんが好き」