第20章 繋がる想いは永遠に【おそ松END】
翌日。
定時で上がり先に家に帰っていた私は、ついさっき榊さんから連絡が来たために公園に行く準備をしていた。
時刻は6時過ぎ。ちょうど昨日おそ松くんと一緒にいた時間帯だ。
家を出て公園に向かう。彼はもう来ていたらしく、ベンチに座ってタバコを吹かしていた。
「おそ松くん!」
「おー、仕事お疲れ、絵菜。で、連絡来た?」
「うん。明日12時に赤塚橋で待ち合わせだって。私たち二人とも休みなの」
「ふぅん、そうなのか。12時に赤塚橋な。じゃ逆算すると、11時くらいに君んちに迎えに行ったほうがいいよな」
「あ…そ、そうだね、うん、お願いします」
「りょーかい」
おそ松くんはタバコをベンチの横にある吸い殻入れに捨てると、隣を手でポンポンと叩いた。
「え?」
「ここ、座って」
「う、うん」
言われるがまま、彼の隣に腰を下ろす。…距離が、近い。
「…なぁ、絵菜」
彼が夜空を見上げながら、私の名を呼ぶ。
「なに?」
「彼氏役、俺じゃなきゃいけない理由…今、聞いてもいい?」
「!」
予想外の質問に、私の体が強張るのを感じる。
そんなこと、素直に言えない。自分の気持ちに気付いたからこそ、まだ心の準備ができていないのだ。
…あなたが好きだから。たったこれだけの言葉を伝えるのには、相当な勇気がいる。
だからまだ…言えない。
「…ごめん。うまく答えられない…かも…」
「……そっか」
街灯はあっても、ぼんやりとしていておそ松くんの表情はよく分からない。声色からして怒ってはいないみたいだけれど…
「…俺さ、期待したんだよね」
「え…?」
「絵菜が選んだのが、俺だってことに。最初は誰でもよくてたまたま俺を指名しただけなんだと思ってたんだけど、君があまりにも必死に否定するもんだからさ。…驚きもあったけど、それよりも…すげー、嬉しかった」
「!!」
「絵菜にとって、俺は特別なのかなって。うぬぼれかもしれない。単なる早とちりかもしれない。でもそんなの考えられなくなるくらい…嬉しかったんだよ」
「…おそ松くん…」