第17章 甘い時間と僕の願い【トド松】
おばさんから借りたエプロンを身に纏い、手を入念に洗って準備完了。買ってきた食材をトド松くんと一緒に冷蔵庫や棚にしまい、必要なものだけをテーブルの上に並べる。
事前におばさんには話を通してあったらしく、食材や調理器具は自由に使っていいとのことだった。誰かの家で料理するのは初めてだけど、なんだかわくわくするな。
使う主な材料は、玉ねぎ、人参、じゃがいも、豚肉などなど。
「カレー?」
「正解!私、カレーが一番得意な料理なんだ」
というのもあるけど、たくさん作って、おじさんやおばさん、6つ子のみんなにも食べてもらいたいって気持ちも込めてね。
オーソドックスだしシンプルだけど、トド松くんも手伝いやすい料理のほうがいいよね。カレーは日持ちもするし。
「じゃあまず、人参とじゃがいもを水で洗ってくれる?玉ねぎは今頭と根を切り落とすから、その後に皮を剥いて洗ってね」
「うん、分かった。多分それくらいなら僕にもできるよ」
トド松くんが洗ってくれた野菜の皮をピーラーで剥き、手早く包丁で切っていく。そんな私の手元を見つめながら、
「へぇ、さすが絵菜ちゃん。手慣れてるんだね」
と目を輝かせるトド松くん。
「ふふ、そんなことないよ。確かに料理は実家にいた頃からそれなりにできてたけど、あんまり凝ったものは作れないし、レシピ通り作るので精一杯だよ?」
「でも僕が言うのもなんだけど、料理ってみんながみんな得意なわけじゃないでしょ?事実君の作ったクッキーはおいしかったし、包丁の扱いも上手だ。料理ができる女の子ってだけでもう可愛いしね」
「か、可愛い?!」
いきなりの爆弾発言に、私は耳まで真っ赤に染まるのを感じる。
「え?そんなに赤くならないでよ。可愛いって言っただけなのに」
「と、とと、トド松くん…っ」
彼は私の腰を引き寄せ、耳元で囁く。
「…エプロン姿、似合ってるよ。本音を言うなら、君がいつも着ているエプロンを見てみたかったけどね。そっちのほうが今より絶対可愛いもん」
「!!」