第17章 甘い時間と僕の願い【トド松】
買い物を終え、二人で松野家に帰宅すると、おばさんが出迎えてくれた。
「お久しぶりです、おばさま」
「あら、いらっしゃい絵菜ちゃん!お使いどうもありがとう。量が多くて大変だったでしょう?」
「いいえ、ほとんどトド松くんが持ってくれたので…」
スーパー袋4つ分にもなってしまった大量の食材。そのうち特に重い3つはトド松くんが持ってくれていた。
「これくらい男ならやって然るべきだよ。母さん、台所空けてあるよね?」
「ええ、もちろん。好きに使ってちょうだい。母さんは洗濯してるから、何かに困ったら呼びなさいね」
「はーい。中に上がろ?絵菜ちゃん」
「あ、うん。お邪魔します」
靴を脱いで玄関に上がり、そのまま台所に直行して荷物を置く。トド松くんがふぅ…と息をついた。
「トド松くん、指大丈夫?重かったよね?」
「え?ああ、平気平気。僕って、案外力あるんだよ。いい運動にもなったし、気にしないで?」
「うん…ありがとう」
「さて、と。時間もちょうどいいし、さっそく始めよっか!」
「?何を始めるの?」
時間…正午を回ったところだ。…あ、もしかして。
「料理?」
「そう!僕ね、君の手料理が食べたいんだ!ほら、この間クッキー焼いてきてくれたでしょ?あれすっごくおいしかったから忘れられなくて。あと十四松兄さんから聞いたんだけど、君の手作りのお弁当もおいしかったらしいし!だから…お願い!」
パンッと両手を合わせて頼み込まれてしまう。まぁ、料理なら作り慣れてるし、おいしいって言ってもらえるのは嬉しい。
「もちろん、いいよ」
「本当!?やったーっありがとう!」
笑顔で快諾すると、トド松くんは喜びを爆発させた。
なるほど、お家でお料理デート…これはこれで、新鮮だし楽しそうかも。
「トド松くんも手伝ってくれる?」
「任せて!…って言っても、僕料理なんてしたことないんだ。だから教えてくれる?」
「うん!ふふ、一緒に頑張ろうね」
よーし、材料はたくさんあるし、とびきりおいしいの作っちゃおう!