第17章 甘い時間と僕の願い【トド松】
【絵菜side】
今日はデート最終日。私は家まで迎えに来てくれたトド松くんと一緒に、近所のスーパーにやってきていた。
お家デートか…聞いたことはあるけど、例えばどんなことをするんだろう?
トド松くんは「絶対に変なことはしないから!」と約束してくれた。その心配は最初からしてなかったんだけど、考えてみれば二人きりだもんね。あ、おばさんはいるのか。
そのおばさんに頼まれたお使いで、メモを片手に食材の買い出しをしているわけだけれど…
「量けっこう多いね。いつもこんなに買うの?」
あまりの多さに、メモに書いてある内容をつい何度も見返してしまう。
「僕もたまにしかお使いに出ないけど、大体そんなもんだよ。なんせ6つ子だからね。母さん昔からよく、食費が嵩んで火の車だって嘆いてたっけ」
「そ、そうなんだ」
ましてやみんな成人になって、でもニートで、おばさんは専業主婦らしいし…おじさんって本当の意味で大黒柱なんだなぁ。
「あ、お金は預かってあるから気にしなくていいよ。じゃんじゃん買おうね!」
悪びれもなく天使の笑顔を向けてくるトド松くん。
……おじさんって偉大だなぁ。