第2章 出会い
【6つ子side】
「あのぅ…こんばんはー」
帰る間際まで騒いでいた6つ子の耳に届いた、少し遠慮がちな女性の声。
思わず全員で声のした方へ振り向くと、そこには暖簾を片手で軽く上げてこちらを覗き込む、一人の女性の姿があった。
「「「「「「!!?(女の子!?)」」」」」」
6つ子たちは皆女性を凝視して固まってしまう。…無理もなかった。
なぜなら彼らは全員、童貞だからだ。しかもニート。
日頃から女性に対する免疫がほぼ0なため、こうして近くに来られるだけでも緊張してしまったりする。
可愛い娘なら、なおさら。
「えー…と……?あれ?お、同じ顔が、6つ…?」
一方で当の本人は、凝視されていることよりも6つ子の顔立ちのあまりのそっくりぶりに驚きを隠せない様子だった。
「え…ええぇぇぇーっ!?」
「「「「「「うわあぁっ!?」」」」」」
突然女性が発した叫びにも似た大声に、6つ子たちは一斉にびくっと体を跳ねさせる。
…………
しばしの沈黙。
互いが膠着状態を保ったまま、数秒が過ぎ…
やがて静寂を破ったのは、
ぐー。
「………ぁ」
「「「「「「……え?」」」」」」
顔をみるみる真っ赤にさせていく、女性の腹の音だった。