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【HQ】卒業の日【影山】

第1章 卒業の日


卒業する3年生に宛てた烏養コーチのアツ〜イお話も終わり、着替えて体育館の外に出ると、そこにはもう準備を終えた飛雄ちゃんが待っていた。
「じゃあ、約束したんで、一緒に...」
私から目を逸らし、照れているのか出来るだけ人目につきたくないとでも言うように、そそくさと歩く飛雄ちゃんの後ろをついて行く。
前を歩く彼の後姿は大きくて、やはり成長したのだなと改めて実感が湧いてきた。
校門を出て、しばらくしてからやっと、飛雄ちゃんの歩くペースが少し遅くなった。
『もう、歩くの速いよ〜!』
「す、すいません....」
飛雄ちゃんはそう言うと、また昼間のような微妙な表情を浮かべた。
「あの...」
飛雄ちゃんが何かを言いかけた瞬間、
「あっ名前ちゃんじゃん〜!すっごい偶然☆」
突如聞き慣れた声が聞こえ、声の主の方へ顔を向ける。
『と、徹くん!?と、岩泉くん...!』
そこには、今は青葉城西高校に通う中学の時の同級生が立っていた。
「何が偶然だクソ川、お前苗字に会いに行くつってウキウキでここまで来てたくせにって...影山もいるじゃねえか」
「うっす。先輩方、ご卒業おめでとうございます」
「ああ、サンキュー。影山なんか成長したな」
「飛雄ちゃんが挨拶出来るようになってる...」
祝辞を述べる飛雄ちゃんに徹くんが驚愕の顔を浮かべる。
懐かしい、中学の頃の記憶が蘇ってくる。
「まあそんなことより名前ちゃん、卒業おめでとう!」
『ありがとう。徹くん、岩泉くんも卒業おめでとう』
「おー、苗字もな」
そういえば、さっき飛雄ちゃんは何を言いかけたんだろうか。
「それでね名前ちゃんに俺が死守してきたこの第二ボタンを渡そうと思って!」
その言葉を聞いた瞬間、飛雄ちゃんの表情がぴくりと引きつった。
「あの先輩、お言葉ですが...」
そんな飛雄ちゃんを見て色々察したのか、岩泉くんが徹くんをシバきながら「邪魔したな」とだけ言い残してどこかへ去って行ってしまった。
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