第1章 卒業の日
武田先生と話をしていると、いつの間にかゲームは終わっていたみたいで、同じ学年のみんなが私のところまで声をかけに来てくれた。
「いやー、でも名前がバレー部に入ってくれて本当に助かった。ありがとうな」
「3年から部活に入ってくれる子なんて滅多にいないし、ほんと助かったべ!潔子も喜んでしな」
「学年では3年間、部活では1年間、本当に助かったよ。色々ありがとう」
澤村くんにスガくんに東峰くん。みんな、本当にいい人たちだった。
『ううん、こっちこそありがとう。バレー部、本当に楽しかった。こんなことならもっとはやくに入部するべきだったかな』
「俺は1年の時から名前のこと勧誘してたべ!」
『あはは、そうだね。観念して入ってれば良かった』
懐かしい、3年前の日々。
「あの頃の名前、バレー部には入らないくせに練習はよく覗きに来るし、試合は毎回見に来るし、絶対俺か大地のファンだって毎回討論してたんだからな!」
「してないだろそんな話!」
「なんで俺は頭数に入ってないの!?」
コロコロ笑いながら話すスガくんに、澤村くんと東峰くんがツッコミを入れる。
そんな話をしているうちに、わらわらと下級生たちも集まってきていた。
『私ね、バレーが嫌いだった』
瞬間、ガヤガヤとしていた体育館内の喧騒が、一瞬止んだ。
『でもね、今はバレーが大好き!みんなのおかげだよ、ありがとう...!』
満円の笑顔で、心を込めて。
それがみんなにも伝わったようで、なんだよ〜という軽口が返ってくる。
そうして時間は流れていき、いつの間にか辺りは暗くなり始め、お別れ会もお開きとなった。