第7章 接触
月歩に腕を引っ張られたままどこかへと連れていかれている。端から見たら痴話げんかのように見えるかもしれないが、今の私にはそんな余裕すらない。
「ちょっと、痛いって。離しても逃げないから…」
月歩「……」
月歩は私の問いかけに答えることなく歩き続け、近くの公園に着いてやっと解放された。
月歩「回りくどい言いかたしても仕方ないからハッキリ言うけど、これ以上忠義に関わらないで」
「関わるもなにも、連絡すらとってないけど…」
月歩「私、忠義と結婚するの」
「そう…だったら、記憶戻ったの??」
月歩「それはまだ。でも、もう思い出す必要ないって」
「それなら、余計に私は関係ないでしょ」
月歩「確かに関係ないけど、無意識にのことを気にしてる」
「…私と忠義の間であったことは月歩に話す必要ないと思うけど??」
月歩「じゃあ、どうして忠義はなくなった記憶にこだわるのよ‼」
「それは忠義にしかわからないよ」
月歩「…あんたさえいなくなれば、忠義は私のこと見てくれるのに…」
「えっ…??」
月歩「消えてよ‼忠義の前から消えてよ‼」
飛びかかってくる月歩から必死に逃げようとしても上手く交わせず、簡単に捕まってしまった。
助けを呼ぼうにもこんな時間に公園にいる人なんていない。
とにかく人がいる方へと必死に逃げようとしている私の前に階段が現れた。
ドンッ‼
後ろから強い力で押され、バランスを崩し階段を転げ落ちた。
「‼」
朦朧とする中で風月としょうちゃんが私を呼ぶ声が微かに聞こえてきたが、身体が言うことを聞かず意識を手放した。