第5章 おそ松くんは問題児
「終わったー!!!」
作業が終わると同時に、おそ松くんは急に大声で叫び出した。
「ちょっと……迷惑だから……」
私がそう言ったものの、手遅れなことに代わりはなかった。しかし時刻は午後6時過ぎ。生徒はほとんど校舎内にはいないはず。なので害があるとするならば、職員室にいる先生たちくらいなのだろう。
「まーいいじゃん。さてと、さっさと出してさっさと帰ろー!」
おそ松くんは私たちが作った部活動案内の冊子の束を全て持ち、担任の先生がいる職員室に向かうため教室を出た。私は、
「あっ、待ってよ。自分がやった分くらいは持つって」
私がやった分と言っても、クラスの約3分の2はあるが……それでもおそ松くんは先に行ってしまった。私は仕方なく作業していた席を元に戻してから、おそ松くんが置いていった鞄を持つことにしたのだが、
「かるっ!」
思わず口に出してしまうほど、鞄は軽かった。筆箱が入っているという重みもあまり感じない。おそ松くんは一体何をしに学校へ来ているのだろうか。