第4章 松野くんと5人の松野くん
しかし数秒後、松野くんは私に対して、
「あっ、それとさ……松野くん呼びやめてくれない? さっきっから気になってたんだよね……ほら、俺六つ子だからさ。松野くんって呼ばれるとあいつらのこと言ってるようにも聞こえちゃうんだよ。だから松野ちゃんにはちゃんと名前で呼んでほしいなって」
確かにこの学年に松野くんは6人いる上に六つ子。1人を松野くんと呼ぶとするなら、きっと6人が反応してしまう。それをおそ松くんは嫌っていたのか。納得したところで、
「じゃあ……おそ松くんって呼ぶね」
恐る恐るだが、ボソッと呼んでみた。
「おっ、おう……なんか新鮮だな……」
おそ松くんは照れた表情で話す。私も呼んだ後、照れてしまった。やはりいきなり異性を下の名前で呼ぶのが恥ずかしかった。こうしてお互い照れつつ、また作業を進めることとなった。