第4章 松野くんと5人の松野くん
私が笑っていると、
「あっ、また笑ってる……でもよかったー、笑ってくれて」
松野くんは安心したように言う。
「えっ……どういうこと?」
私は笑うのをやめて松野くんの方を見た。
「だって松野ちゃん、学級委員になってから全然笑ってくれることなかったじゃん。まあ強引にやらせた担任と俺の責任もあるだろうけど……だからさ、今笑ってるところ見れてちょっとラッキーって思ったんだよ」
松野くんはそう言うと私に笑みを向けてきた。それに応えるように私も笑みで返した。
「さーて、やっぱ早く帰りたいよな。6時過ぎたら意外にも暗いし……さっさと片づけちゃおうぜ」
と松野くんはそう言うと今度はある程度折った部活動案内の用紙をホチキスで留める作業を始めた。
「うん。でも留めるの間違えないでね」
と私は注意しつつ、折る作業を進めた。