第21章 松野たちの補習
「あー、科学難しー!」
おそ松くんは首を傾げながら堂々と呟く。
「確かにね……私も嫌いなんだ」
お互いそのような話をしていると、徐々に人が集まってきた。私は残り10分で始まる科学の補習に向け、テスト内容の確認をしていた。しかし、おそ松くんは腕を組み頭を机へ付け寝そべっていた。いかにも寝そうである。それを横目で見て、気にした私は、
「あのさ……やる気あるの?」
と聞いた。おそ松くんは、
「ないよー、だってめんどいもん。でも来なきゃ怒られるじゃん」
とやる気がない声で返す。来ないと怒られるという考えは律儀であり感心した。とりあえず、その態度を見兼ねてしまった私はそっと、
「ほら」
と問題用紙と解答用紙を渡す。それをチラ見したおそ松くんはすぐに起き上がり、
「えっ、いいの!?」
と驚く。私は、
「嫌なら見なきゃいいでしょ。私は一応昨日のうちに復習とかしたし。まあ赤点以上ならギリギリ取れると思ってるから」
と言う。おそ松くんは、
「まじでー! うっわっ、めっちゃ嬉しい! 実はさ、問題用紙とか失くしちゃって……」
おそ松くんはそう言いながら、私から用紙を受け取り読み始めた。
(なくした……おそ松くんらしいや……)
私はそう思いながらおそ松くんの方を見ていた。